戦略経営デザインのスケッチノート

#001

昨年、家の近所に小さなビール醸造所ができた。

その新しい醸造所は、はじめの頃はまだ自家製ビールを作っておらず、他の醸造所で作られたクラフトビールを樽買いして、それをタップビールとして提供していた。

そのお店に、週に1~2回ビールを飲むのに通い、ビール醸造装置の搬入作業も手伝うなどしていたら、店主とも親しくなり、様々な話をする関係となった。約1年が経過し、常連客もでき、ローカルな商圏でのビジネスとして安定してきた感じがする。

しかし、店主はさらに売上を増やしたいという思いが強かった。
そこで、私はプロボノ的に協力することを決めた。

ビジネスの基本は「客数 × 客単価」

ビジネスの基本的な話として、売上高は「客数 × 客単価」で決まる。

この公式から分かるように、ビジネスを成長させるためには、より多くの顧客を惹きつけ、またそれぞれの顧客からの収益を最大化するということが必要になる。法人向けの業態や小売の業態でも、成立する考え方である。

マーケティングの強化

客数を増やすには、マーケティングが鍵を握る。

効果的なマーケティング戦略には、ターゲット市場の理解から始まる。顧客のニーズと行動を深く理解することで、魅力的なキャンペーンを設計し、正確なチャネルでメッセージを配信することが可能となる。デジタル広告、ソーシャルメディア、イベント、口コミなど多様な手法を駆使し、認知度を高めることが重要だ。

まずは、基本的な情報発信を見直すことにした。

このお店にはWebサイトがなく、唯一の情報発信ツールはInstagramだけだった。
Instagramでは、店主が週に1回程度、写真を投稿している。

Instagramでの情報発信力を高める

まず初めに、アカウントを「ビジネスアカウント」に変更した。
それにより投稿等の閲覧状況などの統計データが見れるようになり、またInstagramの使える機能が増えた。

次に、お店の位置情報を登録し、一般の人が投稿時にお店の場所をタグ付けできるように設定した。以前、別のお店で同様の登録作業を行った際には、位置情報が表示されるまでに1~2ヶ月かかったが、今回はわずか3日で表示されるようになった。登録申請の多い時期と少ない時期での、meta社での対応速度が異なるのだろうか。

そして、動画コンテンツを作成した。
動画の内容としては「お店の概要・ビールの特徴」を端的にまとめた60秒以内の短い動画を制作し、店主にInstagramに投稿してもらった。その結果、1週間足らずで約1000回の視聴を獲得し、常連客からも「今までと違うね!」と好評だった。現在リール動画やショート動画が流行しているので、今回のような動画は目に触れやすい。

その他、投稿時のハッシュタグを整えたり、ストリーズ投稿を行ったりと、Instagramでの効果を高めることを進めた。まだ1週間程度ではあるが、フォロワー数の増加率は、以前よりも早まっている。

AIDMA理論

いろいろな人に、お店のことを知ってもらうきっかけを作ることが重要だ。

マーケティングの古典的なAIDMA理論にあるように、

注意(Attention)
興味(Interest)
欲望(Desire)
記憶(Memory)
行動(Action)

という遷移を意識した戦略が必要だ。

視聴者が増え、知ってもらうだけでは不十分で、「来店する」「Webで注文する」といった次のアクションを促す導線を作る必要がある。

実際の売上向上につながるような施策については、また次回紹介したい。

Writer
PT Sketch Note ライター1号。